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滝が谷公園ニュース…第19号 2006年2月11日

今年は数年ぶりの積雪があるなど寒さが厳しく、春が待ち遠しいものですが、公園では春支度が進んでいます。中央広場に植

わっているシダレサクラは近年少し元気がないので、枯れ枝の剪定・消毒と根回りの掘り起こしと施肥を行いました。4月の

開花はどうなることやら。また、サクラの北側には神戸市さんが高鉄棒を設置されました。3月中にはサクラ並木の間にベンチ

が追加されるそうです。今から花見の季節が楽しみですね。

公園の東北角にはメタセコイヤが約20本植わっており、高さ10m近くに育っています。 春の新緑、夏の深緑が眩しい木々も冬

はうら寂しい様相のみですが、冬の夕陽に屹立する姿が一瞬の輝きを見せていました。

連載「滝が谷公園の自然」 2潜在自然植生

3.「潜在自然植生」という考え方

生態学の概念のひとつに「潜在自然植生」という考え方がある(宮脇昭・横浜国立大学名誉教授、財団法人国際生態学センター

研究所長)。つまり、人間が手を入れない当該土地本来の植物の集まりは、どのような状態なのか(この植生では、高木、中木、

低木、下草という良好な生態系が創出、維持される故に、何十種という豊かな生物相となり、管理は不要である)、このような

良好な生物環境を「作り、守り、育てる」(同教授)ためには、どうすればよいかという問題提起である。――同教授は、20数

年前から、新日鐵の10「工場の森化」(単なる「緑化」を超え、今では高さ20mを超える自然林となっている)を計画立案して

実地指導をされた。最近でも裸地化していた「万里の長城」にモウコスギを植樹して緑化を図るなど数々の実績を積んでおられ

る。同教授の植樹は、例えばシイノミ(ドングリ)を採取し、その実をポッドで発芽させて苗とし、その苗を当該裸地にそのまま

肥料も与えず植えつけ、2年間程度下草刈りを行うという、ごく単純な方法を採用され、自然林の生育を図られている――現存

の植生は、いわば『厚化粧』を施した状態」であり、「『素顔』である」土地本来の植生から、様相を異にする。換言すれば、

現存の植生は、潜在植生とは大きく異なっている。例えば、神戸の後背地である六甲山は、幕末ごろには、薪炭用に切り出され

たため、はげ山となっており、昭和13年の「阪神大水害」の遠因となった(幕末の錦絵に描かれた山は、裸地である)。現在の六

甲山の緑は、砂防行政が中心となって形成した人工林である。

このように、人が居住し、農耕により生計を営んできたことなどにより、原生林が消滅した現象そのものは、歴史の産物であり、

やむをえないといいうる。しかしながら、ゴルフ場のように山林を切り開いて芝生を植きつめ、芝生の生育を維持するために殺

菌剤、殺虫剤を年中散布し続ければならない(この薬剤散布を怠れば雑草に覆われ、芝生は消滅する)状況は、果たして自然界に

とっての「許容範囲」であろうか。また、日本では、緑被率が65%といわれるが、その内実は、換価性の高いスギ、ヒノキなど

の浅根性の針葉樹をいっせいに植林し、間伐を怠っている(採算が合わないので、やむを得ず間伐せず、放置されている)ために

細木化した針葉樹林となっている。これにより、近年頻発する集中豪雨による土砂崩れが各地で発生している状況を放置してお

いてよいのであろうか。

ところで、西日本の森は、人による影響を受けるまでは、「照葉樹林」といわれる常緑で、革質で光沢のある葉を持つシイ、カ

シ、ツバキなどの常緑広葉樹林で覆われていたというのが植物学者の通説である。これらの森林が製鉄などのために大量に伐採

され、森が破壊されていく様子は、宮崎駿監督が描いたアニメ「もののけ姫」からうかがい知れる。人の営みによって消滅した

原生林ではあるが、少なくとも日本では全滅しなかった。原生林の名残をとどめているのが、いわゆる「鎮守の森」である。

斜面地や土地の高いところに立地していた元来の森や水源であった湧水地を含む森は、知恵者の「機転」で作られた(と思われる)、

「この森を伐採すれば、タタリがある」とか「この森には、この木には神が宿っている」という言い伝えにより、皆伐をまぬかれ、

維持されてきた。

(次号に続く)

公園の樹木に名札を付けよう! 準備中。次号詳細ご期待!

2月-4月の活動予定 2月 : 5日、19日 ~ 樹木の追肥等 (各15時ー17時) 3月 : 4日、18日 ~ 側溝さらい等 (各15時ー17時)

4月 : 1日、15日 ~ 植樹等 (各15時ー17時)どなたでもご参加下さい。お待ちしています。

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